当院から見えるところにある市民病院
病院規模としては同じくらいじゃないかと思うし
同じくらいの市内の救急搬送を受けてくれている病院
ここの救急医が辞めるみたいです!
お一人で支えていらっしゃったのですが、これは大変なことになります
救急医って全科にまたがる急性期の疾病や傷害に対応しています
特に中毒とか敗血症とか外傷とか熱中症とか、「この科!」と決めづらいようなところをカバーしています
こう言った分野をそれぞれの部署が頑張っていればフルカバーされるのですが、なかなかにそうはうまく行かないのが病院というものなのです・・・
例えば尿路感染症
単純なものであれば基本的内科知識があれば対応可能ですが、尿管結石で尿路が閉塞していたり、糖尿病を合併して血糖コントロールが難しくなっていたり、敗血症性ショックになって人工呼吸しながら昇圧剤使いつつ透析回して・・・などということになると、泌尿器科に相談すればいいのか、内科で頑張るべきなのか、腎臓内科の出番なのか、非常にややこしくなります
状態が悪い人が病棟に一人いると、それだけで他の業務が回らなくなるので、多くの医師は重篤な人の管理を嫌がります
本当に重症管理が嫌いなのではなく、普段の仕事ができなくなることを嫌がっているだけではあるのですが、普段の仕事が回らなくなると救急以外のところで弊害がでます(患者が不利益を被ります)ので、誰がこの救急医が担保しているポジションを請け負うかというのは難しいものとなります
救急医がやればいいのですが、その救急医がいなくなるのでエライコッチャなわけです
もちろん、救急医の仕事は院内にとどまらず、他院との連携や、消防署など行政との連携をとったりするのも仕事です
この街の救急を長年支え続けてきたわけですから、いなくなるとその大きさがヒシヒシと伝わってきます
来月から、おそらく市民病院で受け入れきれなくなった患者が当院へ搬送されてきます
月100-200件の増加を見込んでいます・・・
結構やばいわけです
今も満床続きなのですが、それだけを受け入れるキャパシティは到底ありません
受け入れて、とにかく転院させてということを繰り返すほかありません
先日も本当に大変な夜でした
残り病床は5(うち2床は小児個室、1床はICU)
肺塞栓の方がいらっしゃってICU入院
脳出血の方が救急病棟入院
急性肝炎の方が一般病棟入院
成人部屋があっとう間に埋まりました
後の人はERの観察ベッドに入っていきます
その後も意識障害とか重症外傷を搬送してくる救急隊
観察病床も埋まってしまい、のこるは救命室のみという状況になったところで鳴ったホットライン
90代女性の意識障害と低酸素
苦渋の決断
「大変申し訳ないです。どうにも入院病床もER観察病床もいっぱいで受け皿がない。何件か他を当たっていただいて、ダメだったら搬入スペースでなんとか頑張るから・・・。」
数分後・・・
救急隊「ダメでした・・・」
なんということでしょう・・・
頭の中でサザエさんの声が囁きます
なんとかかんとか対応し、徐々に転院先を選定したり、状態が落ち着いて帰宅できるようになったりということで、無理くりER運営をしました
こんな日が月に何度も出てくるのかと思うと本当に先が思いやられるのです・・・
ここは正念場
実は先述の市民病院を辞める救急医は、研修医だった頃の僕に励ましの言葉を送ってくれていました
「君が救急の道に進むなら全力で応援する!」
いつまでもおんぶに抱っこではいけません
いただいた応援の力をもとに、なんとか頑張りましょう