最近、うんこ関係の救急が多いです
うんこが出ない・・
うんこが出すぎる・・・
うんこの色がおかしい・・・
うんこした後から意識が低下した・・・
うんこが出ないという相談を救急にされても困ってしまうぜという感じなのですが、まぁお辛いのでしょう
(直腸癌で便秘になり我慢し続けて腸管が破裂してうんこが腹腔内に漏れ出ているようなパターンは別ですよ・・・)
しかし、うんこの相談をされても困るとはいえ、うんこした後に失神したらまぁ救急ですよね
ていうか意識なくなったらまぁ救急ですよ
うんこの後に失神ってどういうことやねんって感じかもしれませんが、こういうとき僕らは迷走神経反射かなと思います
体が落ち着く方向に行かないとうんこできないので、うんこするときは副交感神経優位になって血圧が下がりがちです
ただし、背景に何か消化管出血とかが隠れているんじゃないかとか考えないといけなくなります
うんこした後に失神した人で、少なくとも頭部を調べに行くことはあまりありません
というか、失神した人に頭部の検索をする意義はあまりありません
「意識をなくした」
というと頭部CTを撮りたくなる気持ちが芽生えるかもしれませんが、そんなことしなくてよいです
脳低動脈解離やくも膜下出血を積極的に疑うなら別ですが、頭痛もないのにいきなり失神のみの症状でこういう人が来ることは滅多にあるものではありません
今回はこの失神についての話題です
突然意識をなくした人で、数分後意識が戻ってくるようなものを失神と呼びます
失神を起こした人では何を考えるか
大きく失神の原因は
神経介在性失神
起立性低血圧性失神
心原性失神
の3つに分けられるかと思います
前述のように排便排尿や咳、食事などで認められる状況性失神や、迷走神経の調節がうまく行かなくておこる失神は神経介在性失神に含まれます
交感神経と副交感神経の調節がうまく行かないと起こります
そして循環血液量現象に伴う起立性低血圧失神
消化管出血、子宮外妊娠など、恐ろしい出血性病変が背景にあるかもしれないので、バイタルサインや出血の兆候に目を光らせながら診察する必要があります
で、もっとも見つけにくく、予後に影響を及ぼすのが
心原性
です
大動脈解離や肺塞栓も含めると心血管性と表現した方がよいのかもしれませんが
この失神の原因をきちんと突き止められなければ、1年後死亡率は30%とも言われております
何らかの症状を伴ってくれていたり、心電図に何らかの変化が出ていてくれていたり、心エコーやレントゲンなどの検査で引っかかってくれたら良いのですが
不整脈は引っ掛けられることが少ない
です
一瞬不整脈が起きて、あとは元どおりというパターンでは捕まえようがありません
わずか数秒間の心電図では難しいということで、丸一日心電図を測定するホルター心電図検査というものがあります
ただし、これでも不整脈がたまたま装着しているときに出てくれないと捕まえられません
こうして見つからないままということもあったのですが、近年すごいものが出てきました
これなんだかわかりますか?
これは
植え込み型心電図モニター
です
これを心臓の近くの皮下に埋め込んでおくと、3年間不整脈のモニタリングができるという優れものです
この小ささですよ・・・
思わず「ドラ○もんかよ!」と突っ込みたくなります
突っ込みといえば、この装置は皮下に突っ込む必要があります
1cm弱の皮膚切開をしなくてはなりませんが、挿入キットもあり安全に挿入できます
これのおかげで見つかっていなかった不整脈が結構みつかっているようです
当院でも導入したということで、循環器科と適切に連携して1年後死亡率が30%だなんてことにならないように心がけたいですね
いきなりこれを植え込んで不整脈の有無を調べてくれとか言ってもダメですよw
まずは通常通り心電図、ホルター心電図検査をして、それでもダメだった場合に考慮されるものです
救急で植え込んでくれとか言ってもダメですよw
取り扱いがあるか調べて、きちんと循環器科の外来で相談しましょう★