人間は平等に1日24時間しかないとわかってはいるけど
すごい人はやっぱりすごい
しかし自分は24時間の限界を迎えました
EMAでは書籍の作成が大詰めを迎え
また今月の症例の担当も僕
論文は何とか来月末にsubmitさせたいというところであり
その一方で迫りくる臨床救急医学会の抄録締切と集中治療医学会のスライド登録締切
インフルエンザで滞っていた日経メディカルの原稿や呼吸器ケアの原稿もじわじわとプレッシャーになります
さらに一本の講演を抱えるという非常事態
どれも手は抜けません(当たり前ですが・・・)
このうち、何とか書籍と症例、臨床救急医学会の抄録、講演は乗り切りました
一番きつかった講演の仕事はとても勉強になりました
まぁ講演と呼ぶほどのものではないかも知れませんが、お話したのは先日行われた大阪の救命救急センターの若手医師が中心に集まった救急勉強会です
テーマは
PCAS
post cardiac arrest syndrome
すなわち心停止後の治療をどうするかということです
神様のみに許された蘇生ということが、人類の手元に降りて来ています
年々心配蘇生の方法論が進化し、脳保護はじめとした集中治療の方法論も進化しています
蘇生率、社会復帰率も向上しています
今回はその歴史や最新知見を共有し、さらなるモチベーションの向上につなげようという非常に熱い勉強会となりました
僕は最新の文献レビューをしてくれと言われ、CPRの歴史からガイドライン2015以降に出た文献まで紐解いてまとめました
膨大な文献を1月から読み続けており、かなりグロッキー
おかげでとても勉強になった次第です
今当然のように行なっていることがどのように発展してきたかを知ったのは大変有意義なことでした
当たり前の話ですが、適切な蘇生をしなければ蘇生しないわけです
しかし心肺蘇生が体系化されたのはここ50年ほどの話で、蘇生後の集中治療が体系化されてきたのはここ10年ほどの話になります
実際のところ1960年くらいまでは口から人工呼吸するのは当たり前ではなかったようです
(N Engl J Med 1958;258:671-7.)
それならどうしてたかというと、腕の上げ下げにより胸郭を動かして換気させたり、体を転がして胸郭を圧迫して換気させたりというようなものでした
それより前になると、あたためた方がいいということで熱風をフイゴで送ったり、宙づりにしてみたり、とにかくありとあらゆる方法が試されていました
さらに、胸骨圧迫なんてメジャーじゃなかったし(開胸心臓マッサージをする)、除細動もみんな知りませんでした
1960年にこれらの知識が持ち寄られ統合され、現在のガイドラインの原型となる
「The Pulse of Life」
が作られたのです
胸骨圧迫は1800年代終盤にその有用性の報告があったようです
(Clin Cardiol. 1991 Dec;14(12):1000-2.)
しかし長らく歴史から忘れられ、再発見されて「閉胸式心臓マッサージ」として報告されたのがちょうど1960年で、この年は現代CPRの夜明けとして知られています
(JAMA. 1960 Jul 9;173:1064-7.)
その後、AHAが蘇生の指針をまとめ、その後国際的なコンセンサスを得てG2000が発表されることとなりました
この間40年です
そして集中治療については2008年にPCASの概念が提唱され、現在に至ります
(Circulation. 2008 Dec 2;118(23):2452-83.)
特に脳蘇生の分野はチャレンジングで、今回の勉強会でもその道のトップランナーとして、ハーバードから林田先生を招いて講演頂きました
蘇生後の低体温療法についてはまだまだ諸説あり、適切な管理温度や導入タイミングなどわからないことも多いものです
心臓が動いても脳が元気でなければ、多くの人にとって意味を見出しにくい結果となります
どのようにフリーラジカルを抑制して、脳細胞が死なないようにするか
林田先生は基礎研究から臨床研究まで手がけており、今現在は水素吸入を臨床応用できるように研究中です
あ、水素水じゃなくて水素ガスですよ・・・
まぁそれは置いといて
すごい人はやっぱりすごいなと、ただただ圧倒されて帰ってきました
自分には何ができるかなぁと改めて思うのですが、最も確実に蘇生する方法はやっぱり有効な心臓マッサージ(胸骨圧迫)であると思います
ちょっと前に院内でCPAとなった人が独歩退院していきました
VFが続き、PCPSを導入して心カテに行きました
もちろん循環の維持という意味でPCPSは重要だったろうし、根治という意味で心カテがなければ助からなかったと思いますが、脳蘇生に関していえば胸骨圧迫が素晴らしかったです
実は胸骨圧迫の最中、体動が見られたり、気道確保困難なくらいに歯を食いしばったりという事が見られておりました
最高の胸骨圧迫により、しっかりと頭部に血液が行っていたのだと考えられます
あとから
めちゃくちゃ痛かった
正直「何すんねん」と思っていた
と話されていました
よく
「バイスタンダーCPRあり」
と救急隊から連絡がありますが、このレベルのCPRでなければなかなか脳蘇生は難しいなと改めて実感しました
遠慮がちにやっていては助けられません
肋骨折れるくらいやらなければやっぱりダメなんです
AHA(アメリカ心臓協会)のBLS(一次救命処置)コースは一般人でも受講可能です
こういったことをしっかりと啓発したり、指導に出向いたりということを、救急医としてしっかりやらんといかんなと初心にかえりました
さてさて
大きな仕事が終わりましたが、やる事は山積しているので、こつこつまた頑張ります
すごい人はやっぱりすごい
しかし自分は24時間の限界を迎えました
EMAでは書籍の作成が大詰めを迎え
また今月の症例の担当も僕
論文は何とか来月末にsubmitさせたいというところであり
その一方で迫りくる臨床救急医学会の抄録締切と集中治療医学会のスライド登録締切
インフルエンザで滞っていた日経メディカルの原稿や呼吸器ケアの原稿もじわじわとプレッシャーになります
さらに一本の講演を抱えるという非常事態
どれも手は抜けません(当たり前ですが・・・)
このうち、何とか書籍と症例、臨床救急医学会の抄録、講演は乗り切りました
一番きつかった講演の仕事はとても勉強になりました
まぁ講演と呼ぶほどのものではないかも知れませんが、お話したのは先日行われた大阪の救命救急センターの若手医師が中心に集まった救急勉強会です
テーマは
PCAS
post cardiac arrest syndrome
すなわち心停止後の治療をどうするかということです
神様のみに許された蘇生ということが、人類の手元に降りて来ています
年々心配蘇生の方法論が進化し、脳保護はじめとした集中治療の方法論も進化しています
蘇生率、社会復帰率も向上しています
今回はその歴史や最新知見を共有し、さらなるモチベーションの向上につなげようという非常に熱い勉強会となりました
僕は最新の文献レビューをしてくれと言われ、CPRの歴史からガイドライン2015以降に出た文献まで紐解いてまとめました
膨大な文献を1月から読み続けており、かなりグロッキー
おかげでとても勉強になった次第です
今当然のように行なっていることがどのように発展してきたかを知ったのは大変有意義なことでした
当たり前の話ですが、適切な蘇生をしなければ蘇生しないわけです
しかし心肺蘇生が体系化されたのはここ50年ほどの話で、蘇生後の集中治療が体系化されてきたのはここ10年ほどの話になります
実際のところ1960年くらいまでは口から人工呼吸するのは当たり前ではなかったようです
(N Engl J Med 1958;258:671-7.)
それならどうしてたかというと、腕の上げ下げにより胸郭を動かして換気させたり、体を転がして胸郭を圧迫して換気させたりというようなものでした
それより前になると、あたためた方がいいということで熱風をフイゴで送ったり、宙づりにしてみたり、とにかくありとあらゆる方法が試されていました
さらに、胸骨圧迫なんてメジャーじゃなかったし(開胸心臓マッサージをする)、除細動もみんな知りませんでした
1960年にこれらの知識が持ち寄られ統合され、現在のガイドラインの原型となる
「The Pulse of Life」
が作られたのです
胸骨圧迫は1800年代終盤にその有用性の報告があったようです
(Clin Cardiol. 1991 Dec;14(12):1000-2.)
しかし長らく歴史から忘れられ、再発見されて「閉胸式心臓マッサージ」として報告されたのがちょうど1960年で、この年は現代CPRの夜明けとして知られています
(JAMA. 1960 Jul 9;173:1064-7.)
その後、AHAが蘇生の指針をまとめ、その後国際的なコンセンサスを得てG2000が発表されることとなりました
この間40年です
そして集中治療については2008年にPCASの概念が提唱され、現在に至ります
(Circulation. 2008 Dec 2;118(23):2452-83.)
特に脳蘇生の分野はチャレンジングで、今回の勉強会でもその道のトップランナーとして、ハーバードから林田先生を招いて講演頂きました
蘇生後の低体温療法についてはまだまだ諸説あり、適切な管理温度や導入タイミングなどわからないことも多いものです
心臓が動いても脳が元気でなければ、多くの人にとって意味を見出しにくい結果となります
どのようにフリーラジカルを抑制して、脳細胞が死なないようにするか
林田先生は基礎研究から臨床研究まで手がけており、今現在は水素吸入を臨床応用できるように研究中です
あ、水素水じゃなくて水素ガスですよ・・・
まぁそれは置いといて
すごい人はやっぱりすごいなと、ただただ圧倒されて帰ってきました
自分には何ができるかなぁと改めて思うのですが、最も確実に蘇生する方法はやっぱり有効な心臓マッサージ(胸骨圧迫)であると思います
ちょっと前に院内でCPAとなった人が独歩退院していきました
VFが続き、PCPSを導入して心カテに行きました
もちろん循環の維持という意味でPCPSは重要だったろうし、根治という意味で心カテがなければ助からなかったと思いますが、脳蘇生に関していえば胸骨圧迫が素晴らしかったです
実は胸骨圧迫の最中、体動が見られたり、気道確保困難なくらいに歯を食いしばったりという事が見られておりました
最高の胸骨圧迫により、しっかりと頭部に血液が行っていたのだと考えられます
あとから
めちゃくちゃ痛かった
正直「何すんねん」と思っていた
と話されていました
よく
「バイスタンダーCPRあり」
と救急隊から連絡がありますが、このレベルのCPRでなければなかなか脳蘇生は難しいなと改めて実感しました
遠慮がちにやっていては助けられません
肋骨折れるくらいやらなければやっぱりダメなんです
AHA(アメリカ心臓協会)のBLS(一次救命処置)コースは一般人でも受講可能です
こういったことをしっかりと啓発したり、指導に出向いたりということを、救急医としてしっかりやらんといかんなと初心にかえりました
さてさて
大きな仕事が終わりましたが、やる事は山積しているので、こつこつまた頑張ります