今日はHAEフォーラム学術集会のために品川に行って来ました
HAEは
遺伝性血管性浮腫
(hereditary angioedema)
遺伝的に血管の水分移動の制御に関わる酵素が欠落しており
血管から水が漏れて浮腫を起こす病気です
皮膚が腫れるだけでなく、粘膜の浮腫も起こします
腸管浮腫が起こると腸炎みたいな症状を呈しますし
気道粘膜が浮腫を起こすと気道閉塞して死に至ります
顔面に誘引なく血管浮腫を形成したとき
「クインケ浮腫だね、勝手に浮腫はひくから様子見ようか」
とされることが多いと思いますが、そうされている患者さんのうち、何人かはHAEかもしれません
疑ったらC4やC1-INHなどの通常は行わない補体系の検査をしなくてはならないので、疑ってかからなければ診断に繋がりません
HAEは日本に500人もいないレアな疾患ですが、海外の頻度(5万人に1人)を考えると、4-5倍くらいの患者さんがいるのではないかと推測されています
大阪府の救命救急センターで、見つかっていない患者さんをきちんと拾い上げようと活動したところ、新規の患者さんが数名見つかりました
Hirose T, et al.
Screening for hereditary angioedema (HAE) at 13 emergency centers in Osaka, Japan: A prospective observational study.
Medicine (Baltimore). 2017 Feb;96(6):e6109.
このような活動を通して、僕もHAEに関心を持ち、啓発、新規患者さんの拾い上げ、疾患の理解を深められるように動いています
この疾患については
というサイトで詳しく紹介されているので、医療従事者の皆さんも、一般のみなさまもぜひご覧ください
というわけで、勉強会に参加したのですが
今回は警察病院の仲良くしていただいている救急医(Dr.Hirose)と一緒に気道確保の講演を担当しました
HAEは場合によっては数分〜数十分で気道閉塞してしまいます
C1-INHの投与で症状が落ち着くので、この薬(ベリナート®︎)があればよいのですが、なかなか置いてある病院がありません
そんな時は躊躇なく気管挿管など確実な気道確保を行う必要があります
救急医は気管挿管に抵抗がないので、気道閉塞のリスクを感じたらいち早く挿管するのですが、他科の医師は
「できることなら挿管は避けたい」
という気持ちが働くと思います
もちろん僕らも侵襲的なことはできるだけ避けたいのですが
できることなら気道緊急はもっと避けたい
ので、先手先手を打って動こうとします
今回は
・HAEで気道緊急になった症例の共有
・様々な気道確保のデバイスと限界
・デバイスの使い方の解説とデモンストレーション
・外科的気道確保について
をお話しました
内科、皮膚科の医師が多く参加しておられる中、どのように気道確保を行っていくかということに関して興味を持ってもらえました
行ってよかった
(>_<)
今月は集中治療医学会、近畿救急医学研究会(救急医学会近畿地方会)があり、さらにHAEフォーラムもあったので、なかなか大変な月でした
年度末で色々なことが重なりてんやわんやでしたが、なんとか無事イベントを終えられました
(`・ω・´)ゞ
また明日から頑張ろう★