週末は臨床救急医学会でした
僕は中毒診療のピットフォールというセッションと、救急専門医の魅力を語ろうというセッションに登壇しました
どちらも大盛況で、立ち見はおろか、部屋に入れない人まで出る盛況ぶりでした
そんななかお話させていただけて本当に感謝です
さて、救急専門医の魅力を語るというセッションですが、これどう思います?
学会で専門医たちが真剣に語ることか??
って思いません?
でも救急医は考えてしまうようです
救急医はアイデンティティーが無い無いって自分たちで自分たちを呪うような活動をしているのです
僕もそんな先輩たちを見て不安になりかけた時期もあったのですが、今はなんの不安も不満もなく救急医続けておりますし、毎日楽しいので、そんなことないよーって声を大にして話して来たというわけです
会場に来ていなかった先輩から何を話したのか聞きたいという声があったので、メモ程度にここに書いておきます
僕が伝えたかった救急専門医の魅力は3点です
①研修医教育を円滑にできる
②緊急度判断と対応ができる
③若手にチャンスが広がっている
まず一つ目ですが、救急は研修医教育ととても相性がいいです
厚生労働省の初期臨床研修の理念のところにはこのように書かれています
初期臨床研修の基本理念
臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない
よく言われることですが、横断的にあれこれできることが望まれているわけです
で、こちらは日本救急医学会が掲げる救急科専門医の定義です
救急科専門医とは 救急科専門医は、病気、けが、やけどや中毒などによる急病の方を診療科に関係なく診療し、特に重症な場合に救命救急処置、集中治療を行うことを専門とします。病気やけがの種類、治療の経過に応じて、適切な診療科と連携して診療に当たります。
ね、ね
かぶってますよね
内科も外科もなく頻繁に関わる疾病について、かなり広範囲にカバーされます
もちろん腫瘍の治療とか、膠原病の慢性管理とかには携わりませんが、急性増悪したときには関わりを持ちます
で、結局横断的に関わる救急科専門医に何ができるかというと
何がtypicalで何がatypicalか
何がcommonで何がuncommonか
様々な状況においてこれらがわかるわけです
この背景を元に日々研修医の側に立ち、臨床能力の評価とフィードバックを行うと、効率の良い教育ができます
typicalな症例を通して正攻法を提示し
atypicalな症例を通して見逃してはならない状況を共有できます
そして
commonな症例を通して最低限の能力を担保し
uncommonな症例をさらなる学習のチャンスにつなげます
当院では朝7時から救急部で研修医勉強会を行なっています
種々の実践的なレクチャーだけでなく、研修医による症例報告学会での症例報告や研究報告もして貰っています
uncommonな症例を元に探求していただくわけです
この症例報告は学会発表レベルが求められます
もちろん最初は上手にできませんが、繰り返すことでコツを掴んでもらいます
今朝も研修医により超重症肺炎にECMOを導入した症例を報告してもらいました
ECMOの適応がある肺炎はどこなのか突き詰めるチャンスというわけです
この勉強会を通して、平成27年度は年間10演題、平成28年度は年間7演題が研修医により救急医学会の総会や地方会で発表されました
こうして学会発表することは、探究心の醸成だけでなく、地域をあげた研修医教育に繋がります
院内だけでなく、他院の救急科専門医からも教育を受けるチャンスとなります
研修医は日本の宝です
この宝物を第一線で預かり、日本の未来の礎となることができます
僕にはこれが魅力的に見えます
救急医の魅力②、③はつづきで