前回の続き
前回↓
まさに土俵からおろす・・
大相撲春巡業中の舞鶴
土俵で挨拶をしていた舞鶴市長が倒れ、心配蘇生をしていた女性たちが土俵から下ろされた件です
市長はくも膜下出血であったということです
さて
くも膜下出血は脳動脈瘤破裂で頭蓋内出血を起こすものです
心停止に至るほどのくも膜下出血で元気に回復なんていうことがあるのか?
心肺蘇生を施して悪化しないのか?
などと疑問が湧くと思います
これは端的に答えると
元気に回復することはあるし、心肺蘇生がむしろ必要な場合がある
ということになります
例えばこちらの文献
JJAAM. 2010; 21: 358-64
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam/21/7/21_7_358/_pdf
初期波形PEAでしたが独歩退院されています
急激な脳圧亢進から脳循環が途絶え、心停止に至ったのではないかと考察しています
そのほか、くも膜下出血で心停止に至る原因として、交感神経が過緊張状態となりカテコラミンが大量に放出され、心筋障害から致死的不整脈を起こすという機序も考えられています
実際に心電図で虚血性変化にしか見えないような変化を伴っていたり、心エコーで心筋梗塞時のようなasynergyを伴っていたりするような例をたびたび経験します
最初から頭蓋内出血なのか心臓の問題なのかをはっきりさせることは困難ですから
BLSをしっかり迅速に行うことが重要です!!
今回土俵に上がっていった女性たちの心配蘇生そのものがどれだけ功を奏したかということはわかりません
しかしこのspiritsは必ず社会で引き継いで行かねばなりません
救命の土俵に率先して上がった人を引き摺り下ろすようなことは、とても悲しいことだと思います