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熱中症の季節です (追記あり

熱中症の季節ですね

 

一言に熱中症といっても、熱中症って何?って聞かれると医師でもなかなか答えにくいものかもしれません

 

 

熱中症とは

 

「暑熱による諸症状のうち、他の疾患によらないもの」

 

ということができます

 

 

昔は熱失神(heat syncope)、熱痙攣(heat cramps)、熱疲労(heat exhaustion)、熱射病(heat stroke)などの呼び方がありましたが、これらの症状を起こすようなもので、他の疾患が除外できれば熱中症というわけです

 

 

日本救急医学会が出している「熱中症ガイドライン」の中では

 

「暑熱環境に居る、あるいは居た後」の症状としてめまい、失神(立ちくらみ)、生あくび、大量の発汗、強い口渇感、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、意識障害、痙攣、せん妄、小脳失調、高体温等の諸症状を呈するもので感染症や悪性症候群による中枢性高体温、甲状腺クリーゼ等、他の原因疾患を除外したもの

 

と記載されており、症状は多岐にわたることが想像できますよね

 

 

 

熱痙攣や熱疲労は経験される人も多いかもしれません

 

7月に入り足がつったり気分が悪くなったり、熱中症と考えられる症状で搬送される人が増えてきました

 

 

どうやったら熱中症にならないのかということを啓蒙するのも大事な仕事だと思うので、今日は熱中症の話をします

 

 

熱中症は体内の熱産生と熱放散のバランスが崩れて熱がこもってしまった状態です

 

溜まった熱をどれだけ効率的に体外へ出すかということを考えた時、2種類の効率化が考えられます

 

まずその①

 

放散の効率化

 

です

 

効率よく体の熱を外に逃がすには、気温、湿度、輻射熱、風の強さ、日射、衣服の状態などいろんな要素が関わります

 

気温が高ければ輻射で熱放散できなくなりますし、風がなかったり湿度が高かったりすると汗が気化しなくなるので熱が体からとびません

 

いかに効率良く熱を捨て去ることができるかということを考えたら、風通しの良い場所で風通しがよく吸汗and速乾性の衣服を着用することが勧められます

 

 

 

そしてその②

 

運搬の効率化

 

です

 

体の芯からポカポカしているわけですが、この熱を末梢まで運んで放散しなくてはならないのです

 

これには二つのことが関係します

 

1:血液量が保たれているか

 ➡効率良く熱を毛細血管へ運ぶことができるか

 

2:心機能が保たれているか

 ➡ポンプ機能が作動し血液の運搬ができるか

 

 

水分摂取をしろと言われるのはこのためです

 

しっかりと血液量が保たれていないと熱の循環がうまくいかないのです

 

 

そして、高齢者で重症熱中症となるのは、心機能が低下していたり、そもそも体内水分量を保ちにくくなっているという背景があるのではないかと考えられるわけです

 

 

なるべく脱水にならないように気をつけたいところですが、心臓の弱い人が水を取りすぎるとうっ血性心不全になってしまいますから、なかなか高齢者の熱中症予防は大変かもしれません

 

 

 

さてさて、熱中症を避けるために水分管理するのもうっとおしいし、暑い日はなるべく外に出ないようにしようと考える人もいるかもしれませんが、熱中症になりやすい日の指標として

 

暑さ指数

 

というものが存在するのをご存知ですか?

 

 

湿球黒球温度

WBGT :Wet Bulb Globe Temperature

 

というものを暑さ指数にしようというもので、熱中症予防のため1954年にアメリカで提案されたものです

 

 

湿球温度と黒球温度というのはあまり馴染みがないかもしれませんが、こんなので測定します

 

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(写真:環境省 熱中症予防情報サイト)

 

 

黒球温度(GT:Globe Temperature)は黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞、直径約15cm)の中心に温度計を入れて観測します

 

直射日光にさらされた状態での球の中の平衡温度を観測し、弱風時に日なたにおける体感温度と相関します

 

 

湿球温度(NWB:Natural Wet Bulb temperature)は水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測します

 

温度計の表面にある水分が蒸発した時の冷却熱と平衡した時の温度で、空気が乾いたときほど乾球温度との差が大きくなり、皮膚の汗が蒸発する時に感じる涼しさ度合いを表します

 

 

乾球温度(NDB:Natural Dry Bulb temperature)は通常の温度計を用いて、そのまま気温を観測します

 

 

で、これらを用いて暑さ指数を計算します

 

屋外と屋内で計算が異なります

 

 

屋外

WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

 

屋内

WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

 

 

温度で計算するので単位は「°C」です

 

覚えても医師国家試験に出ないでしょうし、あまりニュースでも触れられないかもしれませんが、これが31°C以上のとき(気温でおおよそ35°Cくらい)は、屋外での運動は止めておきましょうということになっています

 

 

最近どこも最高気温が30°C以上を記録していますので

 

しっかり水分取りつつ、体の弱い人は特に気を付けてください!

 

 

追記)

 

環境省の熱中症予防情報サイトでは、リアルタイムの暑さ指数や、明日の予想値を見ることができます

 

是非

http://www.wbgt.env.go.jp

 

是非外出の参考に


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