みなさん、心肺蘇生をやるとき
「これはなんとしても助けなければ!!」
と思うか
「これは無理かもしれない・・・」
と思うか
どこに線引きがありますか?
もちろん、全例「何としても!」と思う熱い救急医もいるかもしれませんが、来院時点で救急隊が確証持てなかったけど下顎が硬直してましたみたいな人もいるわけです
なんらか、蘇生への反応性を検討する指標があれば!
ということで、こちらの文献
Gaspari R, et al.
Emergency department point-of-care ultrasound in out-of-hospital and in-ED cardiac arrest.
Resuscitation. 2016 Sep 28;109:33-39. doi: 10.1016/j.resuscitation.2016.09.018. [Epub ahead of print]
アメリカとカナダの20以上の施設で行われた前向きの観察研究
院外か院内CPAで、初期波形がPEAかAsystoleだったものを対象として、ACLSの最初と最後に心エコーを行い、予後を検討したものです
793名が対象となり、208名(26.2%)が心拍再開、114名(14.4%)でROSC後入院、13名(1.6%)が生存退院
最初の心エコーで心筋に何らかの動きが見られた場合、生存入院のオッズ比は3.6、生存退院のオッズ比は5.7ということで、予後を予測するには有用かもしれません
ただし、エコーで心筋の動きが確認できない場合でも、0.6%の人が生存退院しているということです・・・
動いていないからといって諦めるには早いということでしょうか・・・
ただし退院時点で植物状態かもしれません
心肺蘇生の治療後にはよくあることですが、ここの部分は評価されていないので、あくまでも「生きて退院」ということが評価指標となっています
ちょっと注意です
ただ最初の心エコーで心囊液があって心囊穿刺したり、肺塞栓が疑われて血栓溶解療法をやると、そういったものがない場合に比べて高い生存率となるようなので、やはりいち早く見つけて確実に原因除去していくことが勝利へのカギとなりそうです
エコーは実際役に立ちます
先日、50歳代の男性が腹痛でトイレに入り、そのままCPAということで救急搬送されました
救急隊にはとにかく最小限の処置で構わないので急いで搬送するようにお願いして、PCPS導入しようかと待ち構えていました
が、来院時点でCPRを継続しながら心エコーと腹部エコーを当てたところ、大動脈が破裂している様子でした・・・
心臓の動きも極めて悪い・・・
なんとか生存、社会復帰をということで搬入前からその場にいた全員アドレナリン全開だったのですが、厳しい状況です・・・
厳しいこともありますが、助けられる命は確実に救いたいところです
やみくもなCPRをやってもただの暴力となりますし、適切に原因除去しないとせっかくのACLSが活きません
積極的にエコー当てていきたいですね!
エコーといえば
土曜日はJATEC倉敷に行ってきました!
開催地の倉敷中央病院や、岡山市民病院、川崎医科大学の先生方など、岡山で活躍されている救急医の皆様はじめ、全国各地の外傷診療に携わる皆様と楽しくコース開催できました★
そして本日は実家で法事
もう13回忌です
このタイミングで外傷診療のインストをできたことは何か意味があるのでしょうか
せっかくなので気づいたことを共有しておきます
今回のコースは研修医が多かったのですが、FAST(外傷での腹部超音波)するとき、プローブをきちんと扱えている人の方が少数派でした
しっかりホールドして、プローブの角度を変えるときは3Dでグネグネ動かさず、縦軸方向に動かすなら縦軸方向、横軸方向に動かすなら横軸方向に動かすということをしないと、自分がどこを見ているのか見失いがちになります
たぶんやり慣れていなかったのかなと思います
これを契機に是非積極的に超音波あててほしいなと思います
CPAのときや外傷のときに確実に使用し、その他の診療時も積極的に活用してほしいなと思います
僕ももっともっと積極的に使っていきたいと思います
皆で頑張りましょう★