先日
某駅の階段から転落→CPA
という救急搬送がありました
転落に気がついた周囲の人が様子を見たところ呼吸がなく脈もなくCPAと判断
救急要請して駅構内のAEDを装着したところ電気ショックが必要であった!
電気ショックが一回行われて蘇生に成功!!
救急隊により当院へ搬送
即座に外傷性変化の評価と安定化、心停止に至った内因性疾患の検索と治療を施行
という経過です
この人は当院搬送時点でおしゃべりできておりました
たまたま通り掛かった人が看護師さんで、迅速に適切に対応してくれた結果、この結果となりました
非常にラッキーな経過です
居合わせた人が、単に階段から落ちただけだということで救急隊を呼んで放置していたり、何もせず素通りしていたりということになればこうはいきませんでした
通りがかりの看護師さん!!!
本当にありがとうございます!!!
で、本当に喜ばしいことなのですが、水を差すような問題が発生しました
実は最近
現場で使用したAEDの心電図波形のデータ抽出にはお金がかかるようになってしまいました
これまでは機器を販売している企業が無償提供してくれていたのですが、公正取引規約の第4条第2号にある
「医療機器等に対し、医療機器の選択又は購入を誘引する手段としての便益労務」
に該当すると判断されてしまったようです
今回はデータ抽出に2万円かかるという回答をいただきました
消防署的には、このお金を捻出してデータを回収することはできないと・・・
予算も決まっているので仕方ないかなと思いますが、結構問題があります
例えばMC協議会の滞り
病院前診療の質向上を目指すため、地域の救急病院と消防署でメディカルコントロール協議会(MC協議会)を開いて救急事例の事後検証を行っておりますが、データがなければ何が起こったのかを検証することができません
検証できないだけならまだマシですが
さらに例えば心停止した人に心筋梗塞など明らかな器質的疾患がなければ、致死性不整脈を突然起こす疾患を持っている可能性を考慮して埋め込み型除細動器の適応になるかもしれません
その適応の判断ができなくなります
誰がこの2万円を払うのかという点で、非常に悩ましい問題です
もちろん患者さんがきちんと心電図の解析をして治療を希望されるなら患者さんが払ってもいいのかもしれませんが・・・
検証会議に患者さんが100%負担して得たデータを利用するのも気がひける話です
これに関して、厚労省が9月に
MC協議会へのデータ提供は「便益供与」に該当せず、今まで通り無償での提供が妥当
ということで各企業に助言したと報道がありましたが、あくまでもMC協議会へのデータ提供ですので、結局厚労省の助言が聞き入れられても病院へのデータ提供にはお金がかかることになります
やっぱり病院が負担することになるんかなぁ・・・
患者さんが負担することになるんかなぁ・・・