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Channel: @ER×ICU 〜救急医の日常〜
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大腸内視鏡を入れるために与えられた3種の神器

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今月いっぱい福岡で大腸内視鏡の勉強をさせていただきました

 

来る前の僕の状況は

・上部消化管内視鏡検査は可能

・大腸内視鏡挿入経験なし

 

 

という感じでした

 

現在どうなったかというと

 

だいたい8分くらいで盲腸まで到達できるようになりました

 

やったー★

ワ━ヽ(*´Д`*)ノ━ィ!!!!

 

 

 

術後で癒着が酷いとか、腹水が溜まっているだとか、特殊な状況でなければいけます

 

 

師匠は確実に僕の人生を変えた一人となりました

 

本当に感謝です

 

 

 

需要は全くないと思いますが、研修医や大腸内視鏡に行き詰まった人がもしかしたら読んでいるかもしれないので、今回学んだポイントを書いておきます

 

 

 

上部消化管内視鏡にくらべて下部消化管内視鏡検査は

 

・上下左右の違いがわからなくなる

・S状結腸と横行結腸が自由に動く

・長管の長さや柔軟性などの個体差が強い

 

ために難しくなります

 

師匠はこれを解決すべく、僕に3種の神器をくれました

 

 

①浸水法

②45cm450°からの45°

③右側臥位

 

です

 

一つ一つメモを残します

 

 

 

①浸水法

 

内視鏡検査の最初に水を200ccほど注入することで、ガスを入れて検査するよりもはるかに簡単に検査ができるようになります

 

10cmくらいスコープをいれて、直腸のところでシリンジから水を入れるだけです

 

水を入れることで、空気を入れずに済みます

 

 

空気を入れると腸管が広がると同時に伸びてしまうので、蛇行するS状結腸が長くなってしまい、きちんと挿入できなくなります

 

できるだけアコーディオンのように腸管を短縮するのが正解なのです

 

 

極力空気を入れずに挿入するのがいいのですが、それだと視野が確保できません

 

水をいれることで腸を伸ばさずに視野を確保することができます

 

 

また腸管壁に近づいた時に無名溝というヒダが見えるので、腸がどっちに向かっているかがわかりやすく、スコープをどちらに向けていいのかわからなくなることがありません

 

さらに空気で腸管を膨らませないので、腸管が緊張せず穿孔リスクが下がります

 

エキスパートはたぶん水を入れる時間が勿体無いと思うかもしれませんが、僕はまったくめんどくさいと思いません・・・

 

 

師匠「君は水泳部だったから水の中は得意だろう!」

 

意味不明ですが、本当に役に立ったことは事実です

 

 

脾弯曲に達した後は比較的楽なので、水を吸って二酸化炭素を入れながら盲腸まで挿入します

 

 

 

②45cm450°からの45°

 

直腸を抜けたら、脾弯曲に向けてスコープを右にねじりながら進めていきます

 

この時スコープヘッドはアップにして、行く先の腸管をスコープに引っ掛けながら巻きつけていくイメージです

 

で、だいたい肛門から45cmのところが脾弯曲で、そこまでにスコープを右に450°捻りながら入れるとうまくいっているというものです

 

上手な人のビデオを見返していると、かならず脾弯曲に到達したときに同じポジショニングでスコープが同じようにループを描いているということで名付けられた秘技です

 

 

 

さらに、脾弯曲までいったらスコープヘッドをまっすぐにして、回転させた450°を元に戻して、45°の角度にしてスコープを持ち直すと、ちょうど2時の方向に横行結腸が見えます

 

自分がどこに要るのかわからなかったら、このポジションになるか確認することで見失わずにすみます

 

このポジションにならなければ、まだS状結腸にいるか、横行結腸にいってしまったか、S状結腸の巻きつけがたりないかなので、捻りながら引いて腸管を短縮させるてみたり、単純に抜いてみたりして一旦は45cm45°で2時の方向に横行結腸があるか確認します

 

 

③右側臥位

 

どうしてもS状結腸に挿入してから、右回転だけで進めない例も存在しています

 

行く先が左側に見えることがままあります

 

腸管が長い人はそのようになるらしいです

 

 

S状結腸が長くうねっているので、無理やり押し込んでも腸管が伸びるだけで、S状結腸から下行結腸への移行部(SDJ)が鋭角になりスコープが進められません

 

 

おおよそスコープが25-30cm程度進んだところで、行く先が左側に現れたなと思った時点において左側臥位から右側臥位にすることで、あえてS状結腸を横方向に伸ばし、SDJを鈍角にして挿入しやすくするというものです

 

いかに早く諦めるかで、その後が決まります

 

変にこねくり回して腸管を変に回転させるよりも、傷が浅いうちにプランBです

 

 

 

 

というわけで

 

おおよそ与えられた3種の神器はこれのみで、あとは

 

 

肝弯曲は十二指腸球部から下行脚への挿入と同じ

 

という解剖学的な類似点を用いたレクチャーや

 

細かいスコープ操作のコツ

 

を教えていただいたのみです

 

 

 

 

書籍だけでは消化できなかった情報が、たった1ヶ月で身についたのは非常に大きかったです

 

師匠の本はこちら↓

 

 

 

絶対にひとりで学ぶよりマンツーマンがいいです!

 

 

 

もし大腸内視鏡で悩んでいる人がいるなら、この人に学ぶべきであると自信を持って推薦します!!

 

 

今後も、もっと患者さんが楽に検査を受けられるように、自分もスコープ操作が上手くなるように研鑽していきます

 

 

福岡生活も残り二日

 

頑張ります★


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