昨日は大阪の若手救急医の勉強会に行ってきました
テーマは
「精神科救急」
北里大学の救命救急センターで精神科医として働く新井久稔先生を招いて、いかにして救急と精神科がコラボするかということを考えました
自殺関連行動
身体疾患を合併した精神疾患患者
身体疾患に伴う精神症状
精神疾患の精査・鑑別
医療従事者への教育など
救命センターは精神科医を欲しています
大阪にも精神科医がいる救急科が存在しており、そこでは転院先に救急医が週一回回診に行くなどして、精神科病院との信頼関係を強化しているようです
とはいえ、なかなか救急と精神科では診療に対するスピード感も違うので、穴埋めが難しいのです
救命はできたが精神症状が残っている
と言ったシチュエーションで、いつ精神科病院へ転院できるかということについては最も顕著にこのギャップが露呈します
精神科は完全に身体的な問題が落ち着いてからでないとなかなか受け入れ難い
でも
救急科としてはやることをやってしまったわけなので、早く精神科的介入をしてほしい
こんなときに間を取り持つ存在が日本ではあまりにも少ないのです
やはりどこの施設も対応に難渋しておりました
当院では心療内科医が週に1回来てくれており、なんとかそこまで管理して介入をお願いしております
しかし、本人が待てなかったり、精神症状が強かったりでなかなか難しい場合が多いです
当院に救急搬送される患者さんで何らかの精神疾患を合併している割合は4.7%
1年で400人以上が搬送されていますが、きちんと精神科に転院という形でバトンタッチできたのは少数派です
特に自損の人については再発リスクもありますので、なるべくきちんとコラボして対応していく必要があるのですが、うまくいっていないのが現状
転院調整がうまくいかなかった例では、結局家族頼みで、かかりつけ精神科受診をお願いするところで止まっています
その後受診していなかったりしても、僕らには介入が難しいわけです
今後当院の課題としてしっかり対応していきたいところです
さて、ちょっと話が変わり
自殺企図のリスク評価方法があるので紹介しておきます
SAD PERSONSスケールというものです
S: Sex
既遂が男性、企図は女性に多い
A: Age
高齢者と思春期
D: Depression
うつ病の有無
P: Previous attempt
最近の企図
E: Ethanol abuse
アルコール乱用
R: Rational thinking loss
合理的思考欠如
S: Social support difcit
社会的援助の欠如(思い込みも含め)
O: Organized plan
計画の確立(より具体的な手段、企図の意思)
N: No spouse
配偶者の欠如(未婚、離婚、死別など)
S: Sickness
疾病の有無(慢性の衰弱性の疾患)
これらのうち、2つ以下の項目しか満たさないなら帰宅させてフォローアップ
3-4項目満たすなら入院考慮
5-6項目満たす場合は入院を強く検討
7項目以上であれば積極的介入をする必要がある
ということです
とはいえ・・・
なかなか積極的介入が難しい・・・
ちなみに来週末は救急医学会の近畿地方会
メインテーマは精神科と救急です
当院からもシンポジウムに一人登壇いたします
良い機会なので、改めて勉強して今後につなげたいところです